虫供養をご存じですか?

●虫だって生きている
ご存じのとおり、わが社の主要事業は「害虫駆除」です。
ゴキブリやシロアリ、ハチやハエやトコジラミ、ダニなど
虫と呼ばれるものはほとんど駆除できるノウハウをもっています。
つまりは、虫の命を奪うことを生業(なりわい)としているわけです。
人間が簡単に残虐に命を奪われると
「虫けらのように殺された」と表現されます。
意味なく殺されたり、大量に殺されたり、その死が簡単に扱われることを虫にたとえるのです。
その正反対に「一寸の虫にも五分の魂」という言葉があります。
例え害虫といえども1つの命ですから、やはりその命を奪うのには申し訳なさや後ろめたさがあるのです。
虫たちはただ暮らしているだけで、あくまで人間の都合で殺す訳ですから。
●その気持ちを汲んで虫たちのために供養祭が行われるのをご存じですか?
ちゃんと住職さんが虫たちの為にお経をあげてくださるのです。
兵庫県PCO(ペストコントロール)協会では年に一度「虫供養」の法要を行う日があります。
神戸市の本願寺神戸別院(モダン寺)で毎年12月に行われます。
その他にも日本シロアリ協会でもシロアリを供養します。
ちなみに大手製薬会社であるアース製薬さんも
兵庫県の赤穂市で毎年虫供養を行っています。
神戸新聞で報じられました。
(以下抜粋)
虫ケア用品を手がけるアース製薬(東京)は、研究開発で犠牲になった虫に感謝する虫供養を赤穂市の妙道寺で行った。
社員ら約80人がダニやハエなどの遺影に手を合わせた。
同社の主力工場や研究所が赤穂市にあり、研究所では100万匹のゴキブリや5万匹の蚊など100種類以上の虫が飼育されている。
虫供養は効力を確認する試験に貢献する虫を弔うため、約40年前から行われている。
大広間に蚊やゴキブリなど7種類の遺影が飾られ、楠千之(ちゆき)住職の読経が始まると社員らが焼香に立った。
小堀富広研究部長は「虫の犠牲があって虫ケア用品の開発ができている。感謝の気持ちを改めて考えることができた」と話した。
(2023年12月23日 神戸新聞)
仏壇の下に飾られたゴキブリやハエのイラストを見るとちょっと笑ってしまいますが、
大手の会社の人たちがこうやって真面目に虫の絵に手をあわせている姿は、なんだかほっこりしますね。
●「虫供養」の原点は農業に従事する人達、農家で行われた供養
そもそもの「虫供養」の原点は農業に従事する人達、農家で行われた供養だといわれています。
田畑を耕したり農薬を使ったりするとそこに生きる虫たちを大量に殺してしまう。
それを思った太古の人々が行ったのが始まりだといわれています。
現代の6月4日を虫の日として各地で虫供養が行われていますし、
秋分の日に行われている場合もあります。
●動物に対する供養祭
もちろん動物に対する供養祭もあります。
薬品開発のための動物実験の対象となった動物や、
食用となった牛や鶏を供養する「動物供養」。
自分の飼っていたペットの供養と言うことではなく
人間が動物から受ける恩恵にたいしての供養と言うことです。
動物霊園ではなく、「動物供養協議会」のホームページを見てみて下さい。
(2024年8月にリニューアルされています。)
動物供養祭の情報がのっています。

http://www.pet7676.com/
また命のあるものに対してだけでなく、物に対する供養もあります。
裁縫などで使わなくなった針や折れた針を供養する「針供養」
遊ばなくなった人形や壊れてしまった人形を供養する「人形供養」
すべて原点はそれがもたらす恩恵に感謝するということ。
こう考えていくと人はあらゆるところで
何かのおかげで生かされているのだと感じます。
現代に生きる我々は毎日忙しいですよね。
予定どおりいかなくてイライラしたり、嫌いな人に腹をたてたり。時間はせわしなく過ぎていきますが、ふと信号待ちのとき植え込みに生きる小さな虫を見つけてみて下さい。
「いやいや、そんな暇人じゃねーよ。」とお思いでしょうが、
今いるあなたも、間違いなくその「虫けら」の恩恵をうけてそこに立っているのです。
そう思って虫と今の自分を対比すると、現世で人間に生まれたという幸運とプライドを感じませんか?
だって来世は、虫に生まれるかも知れませんしね!
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